Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション2

BnF. Département des manuscrits. Japonais 4169 - 翻刻

BnF. Département des manuscrits. Japonais 4169 - ページ 6

ページ: 6

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むかし丹後の国に浦嶋といふもの侍り ける其子に浦嶋太郎と申て二十四五の をのこありける明暮海邊に出て萬のう ろくつをすなとりつりをし父母をやし なひけるかある日のことなるにつりを せんとて出にけりうら〳〵入江〳〵いたり ぬ所もなくうほをつりかひをひろひある ひはみるをかりなとしける處に大きなる かめをつりあけたり太郎此かめにいふやう なんちしやうあるものゝ中に亀は万年とて 命久しきもの也たちまち爰にて命をたゝ ん事いたはしけれはたすくる也かならす此 おんをわするへからすとて亀をもとのうみにそ かへしけるかくて浦嶋太郎其日はくれて 帰りぬまたつきの日うらのかたへ出て釣をせん とおもひてこゝかしこをめくりける處に はるかなる海上にせうせん一そううかへり あやしくおもひてみるに女房一人のり波にゆられて したい〳〵に太郎のたちたる所へちかつきより 太郎此よしをみてふしきなるありさま也と 思ひて申けるやうはいかなる人なれは女しやう の身として一人舟にのりかゝるおそろしき 海上にたゝ何となく渡らせ給ふそと申けれは 女房のいひけるはみつからはさるかたへひん せん申てまゐり侍るところにおりふし波 風あらくして人あまた海へはね入られしを なさけある人みつからをは此はし舟にのせて おもふ方へゆけとてはなされさふらふあまりのか なしさに行えもしらす波にたゝよひ風にふ かれゆられ行ほとに鬼の嶋へゆかんすらん とおほつかなくかなしむ處に嬉しくも人 さとちかきうらにつき今御身にあひまゐらせ候 ことのうれしさに是も此世ならぬ御縁にてこそ あるらめとてさめ〳〵となきにけり浦嶋太郎も さすかに岩木ならねハあはれなることゝおもひ てつなてをとりて引よせにけり女房申けるは 人をたすけ給ふはほさつのきやうとうけ給は り候哀みつからを故郷へおくり届給ハり候へかし 爰にて又捨られ参らせはなにと成行候