翻刻
へし海上にての物こひもおなし事にて候と
とかきくときて又さめ〳〵となきけれは
浦嶋太郎ものゝあはれをしるものなれは
おなし舟にのりうつりさらはふるさとへ
をくりまゐらせんとておきのかたへこき
出す彼女はうのをしへにまかせてはるかの
舟路をへてこきゆく程に五日と申には
ふるさとへそつきにける扨舟よりあかりてみ
るにしろかねの門をたてこかねのいらかをな
らへいかなるきん中の住居はこれにはいかて
まさるへき此女房のすみところ心言葉もおよは
れす申も中〳〵をろかなり扨女房浦嶋に
申やう一しゆのかけにやとり一河の流をくむこ
とも皆これたしやうのえんそかしましてや
はる〳〵の波路を是まてをくり給ふ事此
世ならぬきえんなれは何かはくるしく候へき
みつからとふうふの契りを結ひ給へとこま〳〵
とかたりけれは太郎申すやうとも
かくも仰せにしたかひたま給ふへしとそ申ける