翻刻
宝永四年善光寺御堂再建の後残りし
所の材木をもつて棟梁なりし木村万兵衛と
言もの《割書:善光寺御堂再建之|棟梁伊勢国白子之住人也》心を砕て珍寄
妙業【案?】なる所の薬師堂を造立す四方に聞え
てぶらん堂と言毎年四月八日を祭りて
遠近の諸人群衆す
岩上に立る処のツカ木一本を元として次第に組上
たる御堂なれは人多くありて四方に軽重
なき時は必不動動きても亦数年来の今に
至りて狂ひ損ふ事なし世に珍らしき
御堂なりけるを大地震発して土砂磐石
と共に抜崩れて数十丈の岩間なる長原道を
閉塞きぬ惜むへし〳〵おもふにこの御堂
再建の工匠あるへからすしかるをこれなる
山の辺り地中いかんが狂ひけるや半丁
はかりの間に地中より火を吹出す一ト処には