翻刻
脳乱する事下賎の身の常なれは斯はでやか
なるをもつて人民の耳目を驚かしめ人情盛
んにして心能立働く時は必疲るゝ事も薄く
御普請成就に至りしうへは上下安穂【「穏」の誤字?】なる
事を被為 思召るゝゆゑ斯社【こそ】と愚昧のわれ〳〵迄も
聞伝ふる事のありかたく数千の人歩へ日〳〵
御焚出しを御賄ひなし下し置れ御手充の
広太なりけるとかや然るを四月十三日七ツ時
頃洪水大山の崩るゝか如く押出可恪?【つつしむ】
暫時に此堤打破れ其外数ヶ所切れ破れ
川中嶋満面の洪水とはなりぬ
前にも記せし如く川中辺を始め川辺に連なる村〻
其数多しといへとも今にも水の押来りなん事を恐れて
家に有もの壱人もなく御用にて往来し又は村〻ゟ
御訴等の事にて往還する人の外通路も一切絶たり
いつれの家を覗て見ても其形壱人もある事なけれは
往還ふ人〻は白昼といへとも物すごく水災を案事
煩ひ足に任せて欠歩行けるとなん然るに急災除
けの御普請場所あまたなりけれは村〻に人歩を被
仰付るゝといへとも飯焚汁煮処もあらされは