翻刻
銚子の口の如し大山にはあらねとも左右山〻
連なり川幅尤せまし此処に至りて北は
小市村久保寺村善光寺に見通し南は小松原村
岡田村より次第〳〵に広く見通し東は川中嶋
松代 川東 川北一面平地なり銚子口に至りて
水勢ばつと開く時は大難の尤痛眼前たり
爰に防き助んかために 御 家老
御 出陣ありて急難除け土堤御普請
ある是則乱国に城廓を築に等しく今にも
水の押来たらんかと幾千万の敵を防に似たりと
いふもおろかなり小松原太神宮《割書:太田大明神トモ崇メ|棟札慶長年間ト言》
の辺りに假屋を補理【しつら】ひ幕うち廻し紅白の
吹抜風に霏?き金紋猩々緋の馬印あ
たりを輝かし鑓三ツ道具を餝並へ鉦
大皷をもつて人歩を操出しまたは
休息を触らるる事厳重なりといへとも権を以て
下賎をあなとり威をもつて人歩を苦め給ふ
あらす掛る大災を身に受け親族変死も多き
がうへに幾千万騎の大敵に向ふか如く大難を
眼前に引受人力衰ふる時は必狼狽必心魂を