翻刻
此分は書捨候ものにて如何に奉存候へ共
御閑日之御笑草にも相成候はゝと奉存候て
差出候且又先達而も奉申上候通
年始会之度は大不気分中倅
よみ聞せ候を面倒まきれによし
よしと申て格別加筆にも思慮にも
わたらす為書候惰成短冊に御坐候間
此段言上被成置度奉願候会以後
遠立候者ゟ送り越候分大分到来
仕候へともいまた嶋根大原辺ゟ二三十
人も差出候筈に付先差出候いつれも初心
もの斗りに御坐候へは不差出方可然哉とも
奉存候事
出雲大社の神崇とさへいへはいつも地震也けり
むかし年号は空に覚さりしか為泰若かりし時に
大社の御宝物なる琵琶を
朝廷にめされけるを嶋弾正重老守護仕奉りて京都に
参のほりて奉りしに今年は押詰たるほとに春になりて
御そなはすへれは守護人は先国に帰るへしとありし時
関白殿へ重老奉りし哥
よつの緒の音もそはんとや花鳥の春をまててふ勅は有けん
と詠て奉りしに堂上方聞継言継して出雲には恐しき
哥人ありとのたまひしとそ其比に承り候扨其琵琶