翻刻!草双紙の世界

コレクション: @chinjuさんと読む草双紙

怪談御伽童 5巻. [2] - 翻刻

怪談御伽童 5巻. [2] - ページ 19

ページ: 19

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のことなども心許(こゝろもと)なしとて来(きた)りしを神仏(かみほとけ)の加護(かこ)と 嬉(うれ)しくよくそ来り給ひし不叶(かなはざる)用事(ようじ)ありて宿所(やともと)へ 参(まいり)たししばしの間(あいだ)留主(るす)預(あづかり)給へよと頼(たの)み置(おき)て逸(いち) 足(あし)出して走(はし)り行(ゆき)浪人へ対面(たいめん)し彼(かの)者共(ものども)が工(たく)みし悪事(あくじ) の品々(しな〳〵)をくわしく物語(ものがたり)し今宵(こよひ)の難(なん)をまぬかれ玉 ふ様(やう)に御 思案(しあん)をめぐらし給へかれら蜜談(みつだん)の謀計(ぼうけひ) 露顕(ろけん)せしとしりなは不意(ふゐ)にいかなる悪事をな さんもはかりかたし心つかざる内(うち)にいそぎ罷帰(まかりかへ)るべし と其侭(そのまゝ)取(とつ)てかへし内に入見るにいまだ侍(さむらひ)はかへらず 心うれしく留主せし百姓(ひやくしやう)をは帰(かへ)してそしらぬ 顔(かほ)して居(い)けるに初夜(しよや)の頃(ころ)侍(さむらひ)帰(かへ)りて今宵(こよひ)は夜遊(よあそび)に 出るなり留守(るす)よくせよとて出行(いでゆき)けり伝蔵は今宵 の事を案(あん)じて此 夜(よ)は寐(ね)もやらず居(い)たり浪人は伝 蔵がしらせによりて思案(しあん)をめぐらし目付(めつけ)役(やく)の人の 方へ推参(すいさん)し拙者(せつしや)義は御 領分(りやうぶん)の内に罷在(まかりあり)候浪人にて 御座候が火急に得御意(ぎよいゑ)度(たき)儀(き)御座候て罷越候也 御 在宿(ざいしゆく)に候はゝ御 逢(あい)被下候へかしと申入けれは早速(さつそく) 対面(たいめん)せられぬ浪人あたりの人を遠(とふ)のけさせ申 けるは拙者(せつしや)儀御 領分(りやうぶん)の内にしるべの者(もの)ありて先 年 遠国(ゑんごく)より罷越(まかりこし)只今(たゝいま)平郡郡(へぐりごふり)の内に住居(じうきよ)仕 【平郡郡=平群郡。奈良の平群ではなく、安房国(千葉県)にあった平郡(へいぐん)の旧称。】