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又おそろしけれ佐の右衛門うちわらひ正法に奇特(きどく)なし
汝(なんじ)が邪(じや)法わが正法をもつて正(たゝ)さんに汝(なんじ)が法力いかで
及?べきかと抜手(ぬくて)も見せず山伏の首(くび)討落(うちおと)せは死(し)
骸(がい)はたふれず首は佐の右衛門を白眼(にらみ)歯(は)ぎしみし
しばしくるめくその有様おそろしといわんかた
なし馬士(まご)は是(これ)を見て色 青(あを)ざめてわな〳〵ふるふ
さのへもんは死骸(しがひ)をけたふし馬士来れとのりゆく
にぞ馬子はひさふるひてあゆみうぇすさのへもん云
やう汝(なんじ)おそるゝ事なかれ我人をあやめんとおもふ
心にあらねとも見 聞(きく)通りの過言(くわごん)無法なる奴(やつ)故(ゆへ)に
止事(やむこと)を得(ゑ)ず手にかけしなり少も汝(なんじ)が害(がい)とはなるべ
からす若(もし)後難(こうなん)もあらば汝が聞(きゝ)し通りつぶさに
申ひらくべしわれは何某殿(なにがしとのゝ)の御内 山香(やまか)佐の右衛門
といふものなり汝が身(み)に此 難義(なんぎ)かゝる事はあるまし
といへは馬士大きにおとろ何 様(さま)の御 家士(かし)とやかく
とも夢々(ゆめ〳〵)存知(そんじ)申さで無礼(ふれい)の段 幾重(いくゑ)とも御めん
下さるべし私は御 領分(りやうぶん)の土民(とみん)にて候 最初(さいし)【ルビ:さいしよ?】の義を約(やく)
しながらあの山伏をのせんと申せし事は山伏我?を
まねきことの外 道(みち)につかれたりあの侍(さむらひ)に断(ことはり)を乗?に
駄(だ)ちんは汝が心に
任(まか)せんとく〳〵頼(たの)むなりとし給て