翻刻!草双紙の世界

コレクション: @chinjuさんと読む草双紙

怪談御伽童 5巻. [2] - 翻刻

怪談御伽童 5巻. [2] - ページ 28

ページ: 28

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申そのうへあのものは近郷(きんごう)にかくれなき強力(ごうりき) もの此 往還(わうくはん)にかくれなく殊(こと)に行力も人々しら れて物しらゆへかれが心にさかひては後日の仇(あた)と ならんもおそろしく心ならず無礼(ぶれい)いゝかたる事 御ゆるし下されかしと手をすりて侘(わび)るにぞさの へもん打うなづき何(なに)か汝を咎(とが)めん少しも氣づかふ ことなかれ御 領分(りやうぶん)のものとあればわれは心安し 夢々(ゆめ〳〵)心を置(おく)事なかれと安き言葉(ことば)に馬子(まご)もこゝろ うちとけて行ほとに城外(ぢやうぐはい)にて馬より下り馬子は帰 し我家(わがや)へ帰れは亥刻(よつ)をしらするにぞ食事(しよくじ)など したゝえてさのへもんはけふの草臥(くたびれ)やすめんと寝や に入る家内(かない)のものもしつまり夜(よ)も更(ふけ)けるに物 音(おと)か まびすくするに夢(ゆめ)さめて見れはともし火かすかに 消(きへ)なんとするを起(をき)てかゝげんとするに何やらんかげの ことくならんものありすかし見れは人なりあやしみ なからともし火かゝげ見れは昼手(ひるて)に懸(かけ)し山伏の さもおそろしきさましてさの右衛門をはたとにらみ 立り大かたの人ならば恐れわなゝくべけれとも少も おそれず妻(さい)子の目さめて見ばおそれん事を思ひて 我が夜のものを屏風(びやうぶ)の外(ほか)へ引出し妻子の寝たる