翻刻!草双紙の世界

コレクション: @chinjuさんと読む草双紙

怪談御伽童 5巻. [2] - 翻刻

怪談御伽童 5巻. [2] - ページ 35

ページ: 35

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じたひにおよひけれとも佐の右衛門しゐて理(ことは)りを述(のへ)け れは十 余(よ)人の相番も止(やむ)事を得かたく各(をの〳〵)受納(じゆのう)して 誠(まこと)に心懸(こゝろがけ)あつき士(さむらひ)なりとて感(かん)じあひけるとなん此 事 無下(むげ)にをきことにて首(くび)ねちれたる人の縁者(えんじや) つか?き?の人の物語なり    長慶(てうけい)寺百川和尚猩々 呑(のみ)の事 短歌行(たんかこう)に曰(いわく)酒(さけ)に対(むかつ)て当(まさ)に歌(うた)ふべし人生(じんせい)いくばく ぞ譬(たとへ)は朝露(あしたのつゆ)のごとし憂思(ゆうし)忘(わす)れ難(かた)し何(なに)を以(もつて)か 愁(うれい)を解(とか)ん唯(たゞ)杜康(とかう)有とは今はむかし江都(こうとう)深川(ふかかわ) に長 慶寺(けいし)といへる済家(さいか)の寺ありその住寺(じうし)を百川(ひやくせん) 和尚(をしやう)とて遠国にならびなき大酒(たいしゆ)にて殊に禅学(ぜんがく)に 達(たつ)し頓智(とんち)発明(はつめい)にして更(さら)に貪着(とんぢやく)なき住持(ぢうじ) なれは貴賎(きせん)によらず酒(さけ)このむ者は寺へも行又手 前へも請待(せうだい)して酒を呑合(のみあふ)けるに此和尚いづかたへ 行て呑(のま)れともつゐに顔(かほ)の赤(あか)ふ成し事なくまして 酔(ゑは)はれたる体(てい)を見たるものなし心安き同宿などは 折にふれてははふれいかほど酒をまいれば酔(ゑい)給ふぞと とへは和尚わらひて此寺へ入院(じゆゐん)已然(いぜん)諸国 偏参(へんさん)の 時分(しぶん)伊豫(いよ)国 何郡(なにごふり)とかやに行しに楽助(らくすけ)といひし