翻刻!草双紙の世界

コレクション: @chinjuさんと読む草双紙

怪談御伽童 5巻. [2] - 翻刻

怪談御伽童 5巻. [2] - ページ 34

ページ: 34

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かくて此 死霊(しれう)九年めの初秋(しよあき)の頃(ころ)よりは二三日つゝ程 を置て出夜のみ出る事もあり又 昼(ひる)ちらと見へて 夜は来らぬ事もありしがその冬(ふゆ)に至(いた)りては曾而(かつて) 来らず佐の右衛門親子もあやしみいかにしてか此 化物(ばけもの) は出ざるやらんなどいひて待(まち)に其後はゆめにも来ず かくて年もあらたまりぬれど死霊(しれう)はいよ〳〵影(かげ) 見えねは妻子 従者(じうしや)ももとのごとく呼(よび)かへし佐野 右衛門病気 全快(ぜんくはい)の義申 達(たつ)し勤仕(きんし)を願(ねが)ひて出(しゆつ) 勤(きん)し同役(どうやく)中を招(まね)き饗応(きやうをう)の上にて何やらん紙(かみ)に 包(つゝみ)たるものをひとり〳〵の前へ直(なを)し引廻れは人々 是はいかにといふに佐の右衛門いひけるは某(それかし)山伏を手 にかけし事 殿(との)の御用にて出たる道にての事にもあらず 私の遊山(ゆさん)に出山伏のらふぜきとは云(いひ)ながら畢竟(ひつきやう) 私なり然るに其 為(ため)に九年か間 勤仕(きんし)せざること 茗加(めうが)なき事共なるを各(をの〳〵)の深志(しんし)を以て代役(かわりやく)を 御 勤(つとめ)下されゆる〳〵病気 養生(やうじやう)いたしとてかく全快(ぜんくはひ) 仕段 皆(みな)人々の御 厚情(こうせい)いか様にいたしてもあきたら ざる事なれ共すべきかたも侍らはず九牛(きうぎう)が一 毛(も)にも 即(およば)_レ不(すな)_レ及(はち)せめての寸志(すんし)に候とて九年が間の物成(ものなり)を十 余(よ) 人の相 番(ばん)の人々へわかち遣しけれは人々もさま〳〵