翻刻!草双紙の世界

コレクション: @chinjuさんと読む草双紙

怪談御伽童 5巻. [2] - 翻刻

怪談御伽童 5巻. [2] - ページ 55

ページ: 55

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心おちつきて契(ちぎ)り異(こと)なるいもせの中なり母は かゝる事とは夢(ゆめ)にもしらで主水(もんと)がうきたるさ まの一人 寝(ね)をたえず心くるしく見しに美(み)め かたちも思ふまゝなる人をむかへ居(すへ)たれば嬉(うれ)しさ かぎりなきにもおさよが事は忘(わす)れず此人おさよ に似(に)たるかと思ひ合(あわ)すれどわづかに六つになりし 時の稚顔(をさながほ)さらにおもひよらず此よめは今を盛(さかり)り の年(とし)の程(ほと)にていと清(きよ)らかにけだかく心ざしもなる 事【?】にまさりて優(ゆう)にやさしく情(なさけ)ふかしいづこにて露(つゆ) 難(なん)ずへき所もなし三人ともに下もへ【?】の思ひは深(ふか)く ありそうみのつきぬまさごのかず〳〵もいらねは こそあれみなひとつ思ひにやるせなき月日 もたちて文(ふみ)月十三日になりぬ母は老(おひ)の一かたに 仏(ほとけ)の道(みち)を思ひ入たまだなに供物(くもつ)そなへなどして おしがもろとも取いそぎぬこれは何某(なにがし)彼(かれ)は 誰(たれ)と裂(れつ)を定(さだ)めしその中に雅名(をさなな)の書しあり見れ は橋崎宇根右衛門 娘(むすめ)さよとしるせりおしがいと ふしんなる体(てい)にて母に向(むか)ひ是(これ)はいかなる人の しるしに候やと尋(たつぬ)れは母はしばしいらへもせで 涙(なみだ)にくれしが夫(それ)につきてはあはれなることこそ