翻刻
【右丁】
おき来 ̄ル廿五日の夜 陰(いん)におよんで不意(ふい)に押出 ̄スべしと下知有ける
扨その日の酉の上刻に陣(ぢん)ぶれをなし追々浜手をさして押出す
先(せん)陣の大将早ての守風成が出立には瓦縅(かわらおどし)の大鎧に大吹抜の
前立打たる兜(かぶと)を着(ちやく)し乱板(みだれいた)の指(さし)物早雲と号(なづけ)たる名馬に
ふわりと打 乗(のり)押出す二 陣(ぢん)には雨の長左ヱ門秋村水走おど
しの大 鎧(よろひ)に小町形と名付たる其角(きかく)の前立打たる兜(かぶと)を着し
村雨と号たる大太刀に天の川の尻鞘(しりさや)かけ雨 栗毛(くりげ)の駒にぱら
りと打乗しのを乱して降(ふり)出す三陣には五郎丸火おとしの鎧に稲(いな)
妻(つま)打 違(ちがひ)の前立 太鼓形(たいこなり)の差(さし)物打たる兜を戴(いたゞ)き黒 鉄(かね)作の
小太刀に虎の皮の尻鞘(しりさや)かけ黒雲と号たる名馬にくはらりと
打乗一尺二三寸の棒(ぼう)を二本 角(つの)の如く打振〳〵鳴(なり)出す四番手 ̄ニ
は小 揺(ゆり)の冠者(かんしや)髭長(ひげなが)鱗(こけ)なしの大鎧に黒 光(ひかり)の小手すね当(あて)太(ふと)
【左丁】
【続き無し】