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コレクション: 養蚕の書

養蠶圖解 - 翻刻

養蠶圖解 - ページ 9

ページ: 9

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【右丁】 種(たね)は随分(ずいぶん)揃(そろひ)よく面(おもて)一 様(やう)にして生気(せいき)強(つよ)く。卵(たまこ)の中(うち)少(すこ)しくほみ種(たね)の地合(ちあひ)能(よく)しまり蛾(ひゝる)の働(はたら) き種子(たね)のちらし能(よく)。悪(あし)き臭(にほ)ひなく取扱(とりあつかひ)に種(たね)落(おち)す紙(かみ)に能(よく)取付(とりつき)しを最上(さいじやう)とす。種(たね)を 取(とる)に蛾(ひゝる)を撰(えらみ)分(わけ)悪(あし)き蝶(ちやう)はばくと名付(なづけ)て撰出(えらみいた)し。蝶(ちやう)を上中下と仕分(しわく)る也 能(よき)蝶(ちやう)の種(たね)は 高直(かうじき)也。悪(あし)き蝶(ちやう)の種(たね)は下直(げじき)としるべし尤(もつとも)種(たね)の色(いろ)は其土地(そのとち)の精(せい)種(たね)へ顕(あらは)るゝ也。赤地(あかぢ)の桑(くわ)にて 養(やしな)へば種(たね)赤色(あかいろ)と成(なり)又(また)黒土(くろつち)の桑(くわ)にて飼(かふ)時(とき)は。種(たね)少(すこ)し黒(くろ)みを帯(お)ぶ真土(まつち)の桑(くわ)喰(くひ)し種(たね)は桔梗(きゝやう) 色(いろ)にして種(たね)に少(すこ)し霜(しも)降(ふり)し如(こと)く見(み)ゆ。種(たね)の色(いろ)にはかゝはらず何国(いづく)にても地面(ちめん)宜敷(よろしき)川筋(かはすぢ)の所(ところ)へ上桑(しやうくは)を 作(つく)り刈桑(かりくわ)もぎ桑(くわ)なとにし飼方(かひかた)の本法(ほんはう)を以(もつ)て養(やしなひ)し種(たね)を最上(さいしやう)す其(その)次(つぎ)を場脇(ばわき)ぶつ切(きり)或(あるひ)は ころ種(たね)抔(など)と色々(いろ〳〵)の異名(ゐみやう)有(あり)。又(また)蛾(ひゝる)の性(しやう)悪(あ)しきをばくと云(いふ)は麦飯(むぎめし)の色(いろ)に似(に)たるをもつて名付(なづけ)し とかや性(せい)能(よき)蛾(ひゝる)は白(しろ)き飯(めし)の如(ごと)しと云(いふ)。諸国(しよこく)にて上々まゆを取(と)らんと思(おも)はゞ種(たね)の善悪(せんあく)を吟味(ぎんみ)すべしまゆ 一ッの中(なか)に蚕(かいこ)二ッ三ッも一 所(しよ)に籠(こも)し大(おほ)まゆ有(あり)是(これ)を糸(いと)に取時(とるとき)は節(ふし)多(おほ)く出来(でき)甚(はなはだ)悪(あし)し。よつて是(これ)を 除(よけ)て真綿(まわた)になす大まゆにて取(とり)し種(たね)国々(くに〳〵)より出(いづ)ること多(おほ)し。此(この)種(たね)を求(もと)むべからず種(たね)は第一(たいゝち)其(その) 年(とし)上々(しやう〳〵)の桑(くわ)を喰(くわ)せ上作(じやうさく)の蚕(かいこ)にてとりし種(たね)極上(ごくしやう)としるべし。少(すこ)しにても飼方(かひかた)に 手(て)ぬけあるかまたは桑(くわ)のあてがひに過(くわ)不 足(そく)あるか。あるひは種(たね)もとあしきか又(また) 【左丁 上段】 は其家(そのいへ)に不吉(ふきつ)ある歟(か)。四 度(ど)の起居(おきゐ)に 格別(かくべつ)の寒暑(かんしよ)に当(あた)るか。風雨(ふうう)の時節(じせつ)に 熱(すが)【熟とあるところ】きまゆ作(つく)るか。此等(これら)の事(こと)一ッにても障(さゝは) り有(あれ)ば其(その)種(たね)蚕(かいこ)決(けつし)て宜(よろし)からず。随分(ずゐふん)種(たね) 元(もと)を吟味(ぎんみ)して上種(じやうたね)を求(もと)むべし愚(おろか)成(なる) 人(ひと)はこの理(り)をしらず。蚕(かいこ)の善悪(よしあし)は年(とし)の 廻(まは)り我運(わがうん)なりと心得(こゝろえ)る人(ひと)多(おほ)し。これ 大成(おほいなる)ひがごとなり蚕(かいこ)に限(かぎ)らず生(しやう)あるもの は猶更(なをさら)なり。一 切(さい)の草木(さうもく)までも皆(みな)親(おや)に 似(に)るものなり譬(たとへ)ば渋柿(しぶかき)の種(たね)を植(うへ)て 甘(あま)き柿(かき)は生(はへ)ざるが如(ごと)し。又(また)年(とし)の廻(まは)りに よりて悪種(あくたね)にても相応(さうおう)の蚕(かいこ)を取(と)る 人(ひと)も有(ある)べけれども。是(これ)は其年(そのとし)のまはり 【同 下段 挿絵の説明】 種子(たね)  見分(みわく)る図(づ)