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/位下(ゐのげ)。/左兵衛佐名虎(さひやうへのすけなとら)がむすめ。/紀静子(きのしつこ)なり。/惟仁(これひと)とまうすは御
母は。/太政大臣良房公(だいじやうだいじんよしふさこう)の御むすめ。/藤原(ふぢわら)の/明子(あきこ)なり《割書:後に/染殿(そめどの)|の/妃(きさき)と云》一の
宮の御ことは。紀名虎とりたて奉らんとて。/帝運(ていうん)のしかる
べきことにて。第一の皇子にうまれさせおはしませり。御
位は此きみにこそと。しきりに/内奏(ないそう)まうしけり。四の宮の御
ことは。良房公とりたて奉るとて。一宮は/落胤腹(らくいんばら)名虎が
娘うみまいらせたり。四の宮は/執柄家(しつへいけ)のむすめ/妃(きさき)たちの/皇子(わうじ)
なり。/子細(しさい)にやおよばせ給ふべきと/内奏(ないそう)せられけり。此ことま
ことに/難題(なんだい)にて/公卿(くぎやう)せんぎあり。/勝負(しやうぶ)について。御位を決
めらるべしとて。はじめには/八幡(やはた)にて/臨時(りんじ)の/祭(まつり)をなし。十
/番(ばん)の/競馬(けいば)あり。四/番(ばん)は一の宮につき。六番は四の宮につけり
此うへは/惟仁(これひと)御位につき給ふべかりしを。天皇なを御心あは
ずおぼし召ければ。後には大内にして/相撲(すまふ)の/節会(せちゑ)をおこなはれ
/勝負(しやうぶ)を/御覧(ごらん)有て御ゆづりあるべしとの儀なりければ。惟喬
の御方には/外祖(ぐはいそ)左兵衛佐名虎参りけり今年三十四ふとくたかく
七尺ばかりのおとこ。六十人がちからありし聞ゆ。惟仁の御方には
/少将伴善雄(しやうしょうとものよしを)といふ/小男(こおとこ)。/行年(とし)二十一。なべてのちから人と聞ゆ
れども。名虎に/敵対(てきたい)すべきものにあらずされ共。/果報(くはほう)