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/冥加(みやうが)は四の宮の/御運(ごうん)に/任(まか)せ奉ると/不敵(ふてき)に申/請(うけ)てぞ参
りける。かた〴〵御/祈(いのり)の/師(し)あり。一の宮の御方には/東寺(とうじ)の/柿本(かきのもと)の
/紀僧正真済(きそうじやうしんざい)なり。四の宮の御方には/延暦寺(ゑんりやくじ)の/恵亮和尚忠仁(ゑりやうくはしやうちうじん)
/公良房(こうよしふさ)と。ふかく/師壇(しだん)のちぎりを/結(むす)び給ひけるによつて。かたらひ
つけられたり。/恵亮(ゑりやう)は/西塔宝憧院(さいとうほうどういん)に/壇(だん)をかまへて。/大威徳(だいいとく)の
/法(ほう)を/修(しゆ)せられけり。/真済(しんぜい)は東寺に/壇(だん)を立て/隆三世(ごうさんぜ)の法を/行(おこな)
はる。かくて其日になりしかば/名虎(なとら)と/善雄(よしを)と出合たり。/堂上階(とうじやうかい)
/下(げ)目をすまして是を見。/門内門外足(もんないもんぐはいあし)をつまだてゝこれを
望む。名虎はもとより大/力(りき)なれば。うでのちから/筋(すし)ふとく。もゝ
のむらじゝあつく。かたのわたりほねのつらなり。あたかも/力士(りきし)
の/像(そう)に/似(に)たり。/手合(てあひ)するとひとしく。/善雄(よしを)が/腕(うで)くび/取(とつ)て引よせ
目よりたかくさしあげ。ゑい声いだして/投(なげ)たりける。/見物(けんぶつ)の上
下ありや。/惟仁(これひと)の御方/負(まけ)たりとおもふ程に。一/丈(じやう)あまりなげられ
ながらくるりとかへりて立たりける。見る人あつとぞ/感(かん)し
ける。またよせ合せて。ときうつりけるまでせり合たり。名虎も
松のたてるがごとくにうこかざりけるを。善雄は/藤(ふぢ)のまとふ
ごとく取付て。/内(うち)がらみ。/外(そと)がらみ。大わたりがけ。小わたり/懸(かけ)
/弓手(ゆんで)に/廻(まは)し。/馬手(めて)に廻し。/逆手(さかて)にいり。さま〴〵にこそもみ