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て/相手(あいて)をかきけるに。/海恒世(うみのつねよ)にあはせられければ。久光恒世
が/顔(かほ)を一両度かきけるを。恒世ものゝ数ともせず。久光がかし
らをむねにてせめて。ひしぎつけ奉るに。久光たちまち/絶(たへ)
入けり。久光やう〳〵心つきて。今より後かゝるふるまひをせし
といひて。/近(ちか)づかざりけり。/左大将(さだいしやう)しきりに今度勝負をい
たすべきよしをいはれけれども。/承引(せういん)せざりければ。/禁獄(きんごく)すべし
といはれけるに。久光禁獄にあふとも/命(いのち)はうすべからず。
恒世に近付ては。命有べからずといひて。ふたゝびすまふを取
ざりける。古今著聞集に出たり
/真髪成村大力(まがみのなりむらだいりき)の/学士(がくし)にあふ事
後一條院の御宇/陸奥国(むつのくに)に/真髪成村(まかみのなりむら)といふ相撲あり。真髪
為村が父にて/経則(つねのり)か/祖父(そふ)なり。此成村/若(わか)かりしとき。国々の
相撲と共に/上洛(しやうらく)して。相撲の節を/待(まち)けるが。いざやかた〴〵出
て次涼ゞまんとて/朱雀門(しゆしやくもん)にゆきけるが。それより大学のひがし
の門をすぎて。南の方へゆかんとする時。大学衆どもあまた
東の門にすゞ見/居(い)けるが。相撲どもを/通(とを)さじと立ふさがりけ
れば。さすがにゆづりても通り/得(ゑ)ず。/朱雀門(しやしゆくもん)にかへりけり。そこに
て成村いふやう。大学の者共何のゆへに/我等(われら)をばとをさぬや