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たりしが。其内に家人にいひ付。大竹壱本庭へ持出させたるり。
雷是を見て。是は何の用にかと/不審(ふしん)をなし居る所に。大隅守
立出て。本よりも/某(それがし)ハ。是相撲の始なり。/片屋(かたや)といふものを先
作て見べしとて。彼大竹を一/節(ふし)づゝ末よりつまみひしぎ
/頓(やが)て/引裂(ひきさい)て本末を一ツにねぢ合。/輪(わ)を作り此輪を
かぎり外へ足を/踏(むみ)出しなば。負なるべしと定れば。雷。稲妻。大
嵐。辻風。以下の者共大におどろき/舌(した)を/鳴(な)らし取申にも及
ばず/早我々(はやわれ〳〵)が負にて候。此四人の者共は。諸国を/修行(しきやう)仕。国々の
大力共を/試(こゝろ)みし申候へども。かゝる御力量はいまだ見たること候
はずとて。終に相撲は取ず。原心より/希(こ)に/打笑(うちわら)ひ。其より/盃(さかずき)を出し
一献を始めしかば。以来は/是非(ぜひ)とも/御懇意(ごこんゐ)に預り候はんとて
拝謝してぞかへりける。大友家記に出たり
/蒲生氏郷(かまふうぢさと)相撲の事
奥州/会津(あいづ)の/領主(れうしう)蒲生/飛驒守氏郷(ひだのかみうぢさと)の/家人(げにん)に。西村左馬之助
とて。大男の強力相撲の上手にてありける。子細あつて去
ぬる比勘当せられしが。ゆるされて帰参しけり。氏郷みづからの
/力(ちから)にまさりたるをばしりながら。かれが心を見んとやおもはれ
けん。帰参の/翌日(よくじつ)。左馬助を/呼(よび)て我と相撲を取べしとて