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翻刻
【右丁】
銚子 提
陰陽餅は生児男子なれば二重女子なれば三重たるべし餅
之数二ツは陰数也男子は陽生なるゆへ陰数を以てこれに配
し女子は陰生なるゆへ三ツ之陽数を以てこれに配すこれを
以て陰陽之餅といふ也他流にては男子之時は三重女子之
時は二重を用ゆこれは陰陽相補ふの理にそむき古実を失
ひたるものといふべし口伝なれどもこゝに記す
蟇目を射る仮屋は棟を東西へ造るべし長サ六間に巾九尺丸
木の白木作りにして板張たるべし廊下も板鋪にし四方に
注連縄を引く事本式なり
蟇目之間は南之方か西之方を矢落にすべし是にて産所を
【左丁】
抱也畳を立る所之床は九尺に七尺たるべし其所へ的山之
畳を立る也畳は白縁二畳用ゆべし的は檀紙之畳紙に白地
に胡粉にて松竹鶴亀などをゑがきたる扇子を三ツ折か五ツ折
開き添へ串に挟み立る也矢落畳は床之内へ敷べし流義によ
りて畳を用ゐず米俵を用ゆ蟇目之間を新に作らずして殿
中にて勤る時は的山に五斗俵を左右中之三所に置き杭を一
本づゝ俵へ立十二支之階子を右之杭に寄せかけ白布を引
しごき紐にして階子を杭へ結付け其前へ畳一帖寄せかけ
置くものなれども当今はあまりこの飾を用ゐず当今用ゐ
る所之蟇目射場の飾は左に示したる略図之如き飾を用ゆ
るなり