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翻刻
【右丁】
右之床飾を一段略する時は六合を用ゐず
かう立きそく之事
盛物之器の周りに付たる紙之折形をかう立といふより甲
立又は饗立とかき盛物之上にさすものをきそくといふよ
り亀足とかくこれはかう立。きそくの主意を知らずして濫
にあて字をかきたるもの也只あて字をかくのみならず之
に附会之説をほどこし甚しきに至りてはかう立は盛物の
こぼれぬ為に用るもの也ともつともらしくいひ世にあや
まりを伝ふること久し依て古の学者もこれに迷ひ濫に甲立。
饗立。亀足などの文字をかゝれし書ありかたはらいたき事
也其あやまりをたゞし世の迷夢をさまさんと思へば我家
【左丁】
之秘事を公にせざるを得ず故にやむなくあやまり之儘に
打捨おきぬ他日世の古実家来り問あらばきそくは気束也
かう立は香立也この字義によりて盛物に用ゆる主意を解
すべしと教ふべし古は多く仮名を用ゐたりしが後世之者
六ケ敷文字をかけば学者之如く思ひ物之主意を知らずし
て濫りにあて字を書たるよりこのあやまりを来せしもの
なるべしきそくの内に亀の足に似たるものあるより亀足
とあて字をかきたるものならん然れども亀之足に似ざる
ものあり又花きそくとて松。梅などを用る事もある也松。梅
之枝いかでか亀の足に似んこれにても其あやまりを知る
にたるべし只気束。香立之事のみならず斯の如きあやまり