翻刻
【1行目汚れで読めず】
□□□はある人なりひら小町かうたすゑに有しはなかつかさつらねしうたにうくひす□□□【前コマの挿し絵にある和歌の事か】
□かりせはゆきゝへぬ山ざといかではるをしらましけに心なきちやうるいはなにな■■ひす
□【み?】つにすむかはずのこゑ【声】いつれかうたをよまさるや神もほとけものふじうあるは此■そ
と《割書:つきゆりふし| 》しはしなかめておはします所へあくゑもんかせこのもの【悪右衛門の勢子の者】しのだのもりへかいのほりおめ□□
けんでかりくだす所ににしのやまのてゟかりだされぎつねふうふ子を引つれいきをいは
つんでとをりしか二ひきのおやはにけのびあと成子ぎつねあまりせつなくやすなかま
くの内へぞにけ入けるやすなもとゟじひふかく扨々ふびんやちくるいな□□せつなきゆへ
たすけてくれよといわぬばかりゑゝむざんやそれたすけよといふ所へせこの物共来りま
さしく此まくの内へやかん【野干】入たり出されよとくち〳〵にぞ申けるやすな聞てそれ〳〵すいふん手を
さげをんびんにはからへかしこまつて立出いや〳〵やかんは此方へ参らず候よかたをたつね給へとさらぬ
ていに申けるせこのものいかつてまさしくみ付て来りたりぜひいだされよさなくはおし入
むたいにとらんといかりけるらうとう聞て扨はきつねか入しをみ給ふな此うへはせひなしいか
にもやかんは是にありわたしたく候へ共此方頼みかけ入たるをいかにちくるいなれはとてむさ〳〵
とわたしてはふびん也我々しゆくくわん【宿願】あつて此宮へさんけいいたすしんぜんをけかさんももつたい
なしこの方へ申うけんぜひゆふめん【宥免】あつてとをられよと《割書:おとしふし| 》いとしんひやうにぞ申けるせこのものか
づにのりやあおこかましきことはかなぜひ出さずはかけ入とまくの内へ入らんとやすなからう
とうらうせきものやとおしとむる所をいなやにおよばずぬき打にはつしと打すかさずうけとめ
まつかう二つに切わつたり残る物共一どにばつとおつちらし扨やすなはくだんのやかんを取出しさぞ
おや共かなげくらんそれ〳〵とはなされける《割書:いろ| 》あと立かへりうれしげ成ふぜいにて《割書:はつみふし| 》ゆく
へもしらす也にける所へあくゑもん大せいを引くし【引具し】まくちかく【幕近く】立ゟ大おん上け何物なれは此方
にようし有ゆへうちとるやかんをむたいにばい取のみならずわかての物さんたに【さんざに=散々に】うちちらしらう
ぜき成ふるまひ一人もあまさし我石川のあくゑもんつねひらといふ物なりはや出よ命
おしくはやかんを出しかうさんせよといかりけるやすなこらへぬわかものにて何石川のあくゑもんと
や我こそせつしうあべのぐんしやすあきか一子権太左衛門やすなといふもの也なんぢか下
べ共それかしかまくのまへにてらうぜきをせしか共下人と思ひわさとかうさんしつれはかつにの
りまくの内へ切て入ゆへおつちらしたり下らうのわさしゆじんのしらさることよと思ひしに扨
はあくむざんのらうぜき物に申付ことをこのむ物とみへたり《割書:いろをん| 》おのれかやう成ぶたう【不道】しんあは
ぬあいてと思へ共せひにおよばすいざこざれと太刀ぬき打てかゝるあくゑもんからうと
う【郎党】渡りあひ爰をせんときりむすぶ大ぜいにぶせいのことなれはやすながちう□□□
こと〳〵く打れあるひは手をおいやすなもきずをかうむりしはしやすらふ所へあくゑもんが
らうどうさはなみ清六すきまもなく切てかゝり上だん下だん付つからんづたゝ□□□
なと有ふしきにけしとみかつはとまろぶ【転ぶ】を清六はつしと打をちや□□うけとめ□…
《割書:いろちふし| 》さつとないだもろひざながれのつけにかへすを立あかつてくひを打□…
かけ付□□□だく心へたりとまへゝゑいと引ふすか又三人□□是を□□□□せと□…
所へ大□□つとおりあひ手取あし取《割書:ふし| 》やかてなわを□□…