翻刻
こなすに及す其儘通り抜る故食気めくらずして
食滞或は留飲と成て腹内を損るなり腹の冷
物を好む事は天性也かたきものをこなす事は
たとへは鳩雀は穀物のかたきを呑蛇は蛙を呑
鵜は己か丈けより長きうなきを呑皆腹中にて
こなすなりまして人は六尺のたけにて梨子
柿の類をこなす事論ずるにたらす雀の
類小さき生類といへとも腹中陽気の臼を以
穀物のかたきをこなす事安しされは人間
陽気の臼は御影石の臼にもまさるへしこわき
飯なとを毒なりといふは誠に心得ざるの甚
しきなりすへて人の手にて臼にかけ
あるいはあつく煮熟したるものは陽気の臼の
働やうなく腹中の陽気を生る事薄く
天性の理違ひて病を生し命をそこなふ
なり常陸の伯明先生のいろは哥に