翻刻
【右丁】
一種
樹皮(しゆひ)ともにかぢに似
て葉の形円く先 尖(とか)り
実も円くして紅紫色(こうししよく)の
毛あり
【左丁】
枳(き) きこく 時枳(じき)《割書:本草和名|引雑要訣》 槌胸霹靂(ついけうへきれき)《割書:事物異|名実名》
《振り仮名:■実|ほつしつ》#1#2《割書:玉|扁》
蘇頌(そせう)#3の説(せつ)に木(き)《振り仮名:如_レ橘而|きつのことくにして》小(せう)高(たかさ)五七尺 葉(は)《振り仮名:如_レ橙|とうのことく》多剌(はりをゝし)といへるもの昔時(むかし)
漢種(かんしゆ)渡(わた)りて本邦に多(おほ)し樹葉(しゆやう)ともに柑(みかん)に似て本に剌(とけ)#4多し葉の大
さ回青橙(たい〳〵)#5に似て小く柑(みかん)より大なり夏月五弁の白花を開(ひら)く形 柑(みかん)
に似て大也後実を結(むす)ふ熟(しゆく)すれは黄色にして大さたい〳〵より小なり
味ひ甚(はなはた)悪(あし)く薬用の枳実(きしつ)と称する者は小なる時(とき)採(とる)を宜(よろ)しとす
此を本草原志(ほんさうけんし)#6に鵞眼枳(かかんき)実と云 枳殻(きこく)と云る物は秋に至(いた)り長する
物をとりて製(せい)する物(もの)也 枳実(きじつ)枳殻(きこく)ともに漢渡(かんと)の物といへとも疑物
を雑(まし)ゆ和にも又疑物 多(おほ)し枳実の真(しん)を分(わか)つには穣(しやう)す数(かす)多くして
十二三あるを真(しん)とす且枳実枳殻両品ともに外皮(くはいひ)黒(こく)色になるといへ
ともこれを刻(けつ)る時は青みあるを真として別(わか)つへし