翻刻
人の御うへ【人の身の上】にてさへ袖もしほるはかりにな
りてかひ〳〵しく【まめまめしく】そあひしらひ【相手に合わせ】きこえ給
める空のけしきもまたけにそあはれし
りかほにかすみわたれるよるになりて
はけしうふきいつる風のけしきはた【やはり】ふ
ゆめきていとさむけにおほとなふら【大殿油=大殿(御殿)でともす油火のあかり】もきえ
つゝやみはあやなきたと〳〵しさ【何も見えず様子が分からない状態】なれと
かたみにきゝさし【聞くのを中途でやめる】給ふへくもあらすつき
せぬ御ものかたりをえ【よう】はるけやり【晴け遣り=気が晴れるまで】給はて【語り会えないうちに】
夜もいたうふけぬ世にためしあり