翻刻
きこえさせやるへき方もなく【返事のしようがございません】なと所〳〵
いひけち【口にすることを控え】ていみしく【たいそう】物あはれとおもひ給へ
るけはひなといとようおほえ【(大君に)似て】給へるを心
から【心の底から】よその物に見なしつるといとくやし
くおもひゐ給へれとかひなけれはそのよ【あの夜】
の事かけても【かりそめにも】いはすわすれにける
にやとみゆるまてけさやかに【けざやかに=きっぱりとした様子で】もてなし
給へり御前ちかきこうはい【紅梅】の色もか【香】も
なつかしきに鶯たに見すくしかた
けにうちなきてわたるめれはまして春