翻刻
うつろひ侍へけれは【移る予定ですので】夜中あか月とつき
〳〵しき【好ましい】人のいひ侍めるなにことのおり
にもうとからす【気兼ねなく】おほしのたまはせは世に
侍らんかきりはきこえさせうけたまはり
てすくさまほしくなん侍るをいかゝはおほし
めすらん人の心さま〳〵に侍るを【「を」の左に「ヒ」と見える字が傍記】世なれは
あひなくやな【不都合かな】とひとかたにも【一方的に】えこそお
もひ侍らね【思い込むわけにもいきませんので】ときこえ給へはやとをは【宿をば】かれ
し【立ち去りたくない】と思心ふかく侍をちかくなとのたま
はするにつけてもよろつにみたれ侍りて