翻刻
【右】
麻疹勢(はしかせい)は威勢(いせい)をうしなひ薬種方(やくしゆかた)は十/分(ふん)に勝(かち)ほこり大言(たいけん)を
吐(はい)てりきみける譬是(たとひこれ)より麻疹勢(はしかせい)張良(ちやうりやう)孔明(こうめいが)計(がはかりこと)をもつて
責(せむる)るとも我(われ)また孫呉(そんご)の秘術(ひしゆつ)を尽(つくし)し半年(はんねん)はかりの内(うち)には
一向(ひたすら)安楽(あんらく)無病(むひやう)の世界(せかい)となさんと本町(ほんてう)三丁目に本陣(ほんちん)を居(す)へ町〳〵
薬種屋(やくしゆや)に出張(てはり)を構(かまひ)ひ威儀厳選(いぎけんせん)と備(そなへ)たれば麻疹一統(はしかいつとう)
に流行(はやり)たりとも万民無恙世(はんみんつゝがなきよ)の中(なか)とならんこと千秋万歳万(せんしうはんさいはん)〳〵( 〳〵 )
歳(さい)もめてたかりける次第(したひ)なり
文政七甲申三月吉日 小伝馬三丁目 蔦屋十三郎
通油丁 鶴屋喜右エ門
新刻発行 人形丁通り 同 金助
両国広小路 山田佐助
【左】
《割書:御かほの|くすり》美艶仙女香(びゑんせんぢよこう) 一包四十八孔
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此御くすりは享保(きやうほ)十一年二十一番の船主(せんしゆ)伊浮九(いふきう)といへる
唐人(とうじん)長崎偶居(なかさきぐうきよ)の時(とき)丸山の全盛中近江(ぜんせいなかあふみ)や菊(きく)野と称(せう)せし
遊女(ゆうぢよ)に授(さつけし)し奇絶(きたい)の妙薬なり功能(こうのう)は包紙(つゝみかみ)にくはしく記す
十包以上御もとめ被下候へば三芝居役者(さんしばいやくしや)自筆(しひつ)の扇子(あふき)景(けい)物に【景物=風情あるもの、興味をそそるもの】
さし上候御用のせつは御ひゐきの役者名前(やくしやなまい)御好可被成候
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調合弘所 《割書:江戸南伝馬丁三丁目|いなり新道いあなりの東となりにて》 さか本氏製
【弘所=ひろめどころ】