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翻刻
《割書:寒前酒の|間に作る》寒前酒(かんまへさけ)、○寒酒(かんしゆ)、《割書:すへて日数も後程多く|あたひも次第に高し》等(とう)なり、就中(なかんつく)新酒(しんしゆ)は
別(べつ)して伊丹(いたみ)を名物(めいぶつ)として、其香芬(そのかうふん)弥妙(いよ〳〵めう)なり、是(これ)は秋八月 彼岸(ひがん)の頃(ころ)、
吉日を撰(ゑら)み定(さだ)めて其四日前に麹米(かうしこめ)を洗初(あらひそめ)る、《割書:但し近年は九月節寒露|前後よりはしむ》
酒母(さけかうじ)【二行割書】むかしは麦(むき)にて造(つく)りたる物(もの)ゆへ文字(もんし)麹につくる中華(ちうくわ)の
製(せい)は甚(はなは)たむつかしけれども日本の法(はう)は便(べん)なり
彼岸頃(ひかんころ)、□(もと)【酉に胎】入定日(いれじやうじつ)四日 前(まへ)の朝(あさ)に米(こめ)を洗(あら)ひて水(みづ)に漬(ひた)すこと一日、翌日蒸(よくじつむ)して
飯(めし)となして筵(むしろ)にあげ、抦械(えかひ)にて拌匀(かきませなら)し、人肌(ひとはだ)となるを候(うかゞ)ひて不残(のこらす)槽(とこ)【資料では手偏にもみえるが】
に移(うつ)し《割書:とことは飯(めし)いれ|の箱(はこ)なり》筵(むしろ)をもって覆土室(おゝひむろ)のうちにおくこと凡(およそ)半日、午
の刻(こく)ばかりに塊(かたまり)を摧(くだき)其時(そのとき)糵(もやし)を加(くわ)ふ事(こと)凡(およそ)一石に二合ばかりなり、其夜(そのよ)
八ツ時分に槽(とこ)より取出(とりいだ)し、麹盆(かうじふた)の真中(まんなか)へつんぼりと盛(もり)て、拾枚宛(じうまいづゝ)かさね
置(おき)、明(あく)る日のうちに一度(いちど)翻(かへ)して、晩景(はんかた)を待(まつ)て盆(ふた)一はいに拌均(かきなら)し、又 盆(ふた)を
角(すみ)とりにかさねおけば其夜(そのよ)七ツ時には黄色(わうしよく)白色(はくしよく)の麹(かうじ)と成(な)る
麹糵(もやし)
かならず古米(こまひ)を用(もち)ゆ、蒸(む)して飯(めし)とし、一升に欅灰(けやきはい)二合許を合せ、