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筵(むしろ)幾重(いくへ)にも包(つゝみ)て、室(むろ)の棚(たな)へあげをく事十日 許(はかり)にして、毛醭(け)を生(せう)
ずるをみて、是(これ)を麹盆(かうじぶた)の真中(まんなか)へつんほりと盛(も)りて後(のち)盆(ふた)一はいに
搔(かき)ならすこと二 度許(どはかり)にして成(な)るなり
醸酒(さけの)□(もと) 《割書:米五斗を一□といふ一つ仕廻(しまい)といふは一日一元づゝ片付(かたづけ)|行(ゆく)をいふなり其 余(よ)倍々(はい〳〵)は酒造家(さかや)の分限(ぶんげん)に応(わう)ず》
定(しやう)日三日前に米(こめ)を出(いだ)し、翌朝(よくてう)洗(あ)らひて漬(ひた)し置(お)き、翌朝(よくてう)飯(めし)に蒸(むし)
て筵(むしろ)へあげてよく冷(ひや)し、半切(はんきり)八 枚(まひ)に配(わか)ち入(い)るゝ《割書:寒酒(かんしゆ)なれは|六枚なり》米(こめ)五斗に麹(かうじ)
壱斗七升水四斗八升を加(くは)ふ《割書:増減家々(ざうげんいへ〳〵)|の法(はう)なり》半日ばかりに水の引(ひく)を期(こ)として、
手をもつてかきまはす、是(これ)を手元(てもと)と云(いふ)、夜(よ)に入(いり)て械(かひ)にて摧(くだ)く、是(これ)をやま
おろしといふ、それより昼夜(ちうや)一時に一度 宛(づゝ)拌(かき)まはす《割書:是(これ)を仕|ごとゝいふ》三日を経(へ)て
二石入の桶(おけ)へ不残集(のこらずあつ)め収(おさ)め、三日を経(ふ)れば泡(あわ)を盛上(もりあぐ)る、是(これ)をあがりとも
吹切(ふききり)とも云なり《割書:此機(このき)を候(うかゞ)ふこと丹錬(たんれん)の妙(めう)|ありてこゝを大事とす》これを復(また)、□(もと)をろしの半切二
枚にわけて、二石入の桶(おけ)ともに三ツとなし、二時ありて筵(むしろ)につゝみ、凡(およそ)六時
許には其内(そのうち)自然(しぜん)の温気(うんき)を生(せう)ずる《割書:寒酒(かんしゆ)はあたゝめ桶(おけ)に湯(ゆ)を入ても|ろみの中(なか)へきし入るゝ》を候(うかゞ)ひて
【このページの□は酉に胎の字。 酒母の酛のことか。】
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