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翻刻
石といふは至(いたつ)て色(いろ)白(しろ)く黒文(くろふ)なし。是は昔(むかし)に出(いで)て今は鮮(すく)なし。されども其(その)費(ひ)
用(よう)をだに厭(いと)はずして。高嶽(かうかく)深谷(しんこく)に入(いつ)ては。得(え)ざるへきにあらずといへども。運送(うんそう)車力(しやりき)の便(たより)なき所(ところ)のみ多(おゝ)し
○石質(いしのしやう) 文理(いしめ)は京(きやう)白川(しらかは)石に似(に)て至(いたつ)て硬(かた)し故(かるがゆへ)に器物(きぶつ)に制(せい)するに微細(ひさい)の稜(か)
尖(と)も手練(しゆれん)に応(おう)ず。白川は酒落(ほろ〳〵)して工(たくみ)に任(まか)せず。石工大なる物(もつ)に至(いたつ)ては難波(なには)
天王寺の鳥井(とりゐ)などをはしめ城廓(しやうくはく)。石槨(せきくはく)。仏像(ふつぞう)。墓牌(ぼひ)【碑の誤】。築垣(ついかき)に造(つく)り琢磨(たくま)【啄は誤】し
ては皮膚(ひふ)のごとし。是(これ)万代(ばんたい)不易(ふへき)の器材(きさい)。天下の至宝(しほう)なり
○品数(ひんすう) 直塊(のつら)は。大鉢(おほはち)。中鉢(ちうはち)。小鉢(こはち)。《割書:鉢(はち)とは手水鉢(てうずはち)に用(もちおゆ)るにより本語(ほんご)とはす|れども柱礎(はしらいし)溝石(みぞいし)なとをはしめその用多し》
頭(ず)無(なし)は大(おほき)さ大抵(たいてい)一尺五六寸にして。其上(そのうへ)の物(もの)を一ツ石と号(なづ)く。又六人といふは
一 荷(か)に六(むつ)宛(づゝ)担(になふ)の名(な)なり。栗石(くりいし)は小石にして大雨(たいう)の時(とき)には山谷(さんこく)に転(ころ)び落(おつ)る
物(もの)ゆへ石に稜(かど)なし是は鉢前(はちまへ)蒔石(まきいし)等(とう)に用(もち)ゆ《割書:石(いし)をくりといふこと応神記の哥(うた)に見へたり。また|万葉集(まんようしう)に奥津(おきつ)はくりともよみて山陰道(さんいんどう)の俗(そく)》
《割書:言(ご)なりともいへり。大小|にかゝはらずいふとぞ》
割石(わりいし)は大割(おほわり) 中割(ちうわり) 小割(こわり) 延条(のべ)《割書:長(なか)く切(きり)たる|石なり》蓋石(ふたいし)《割書:大抵(たいてい)長二尺計 幅(はゞ)|一尺一二寸 厚(あつさ)三四寸》いづれも築垣(ついがき)