翻刻
さくはなの色をさらして清水に
かゝる音羽の滝のしらいと
それより大谷を過て大仏に詣て
卅三間堂射術の稽古をみて申の
刻過旅宿にかへる
あけの日辰の刻竹輿にていて立
まつ壬生の地蔵尊に詣す此処に
南都招提寺の本尊出開帳にて
数多の宝物を拝す
太秦の薬師如来にぬかつき桜のもとに
いらふ
咲もちるも瑠璃の光やさくら陰
けふは殊更うらゝにして参詣の群集
引も切らすかの通を失ひし仙人の
昔を思ひ出て我を忘れし老の流し
目人やみるらんと恥しなから狂歌
よい水にみかきあけたる京女郎の
瑠璃の壺から出たる粧ひ