翻刻
松原まて竹輿にて送らる
青海を竹輿にかへけりわか葉山
江田といふ処より一葉の舟に
棹して下る
すゝしさは棹の雫か小ぬか雨
未の刻はかり家路ちかき岸に
ふねはつきぬ
帰帆つゝかなくして稚子門にまつ
のふることも思ひ出し侍りてうまこの
さえ〳〵しき嬉しさに
右左孫の機嫌や風くるま
かへり来ておもふもうれし老楽の
齢を延しゝ旅の衣手
右
ゆるきみまつりこと六の季春【晩春】
上浣【上旬 注】より開花月下浣【下旬】まての
【注 「浣」は「すすぐ」という意。中国の唐の制度で月のうち10日ごとに1日の休暇を官吏に与え、自宅で入浴(ゆあみ)させたところから10日を単位として「浣」という。ここに注記を書きます】