翻刻
【右丁】
してしんこくをしたがへたまはん事は
たうらう【蟷螂(かまきり)】がおのをもつてりうしや【隆車=高大な車】を
さえきるににたるべしすみやかにほん
こくへかへらせ給へあしくしてばちあた
りたまふなよから人たちとの給ひつゝ
かきけすやうにうせ給ふから人この
よしみるよりもふしきやたゝいまの
ぎよおうのありさまはしめよりたゞ
人ならずと思ふところにすかたのう
せしこそあやしけれいかさま【なるほど】しんこく
なれはみやうじんのへんげして
みえ給ふかとみな〳〵おそれさはぐ所に
にはかにそらかきくもり大あめふりて
【左丁】
かみ風しきりにふきいでければかいしやう【海上】
もものすごくはくらう【白浪】天にみなぎる
ほどにこはいかにときもたましゐをけす
ほとに八大りうわうは八まん四せんの
けんぞくともをひきぐしあをうなはら
にうかみいでわが日のもとのあまつ日つき
にあたをなしたてまつらんものならば
うみにしづめんとてくうかい【空海】にとびかけり【飛び翔ける】
けるほとにから人いよ〳〵おそれを
なしふねをほんごくにこぎもどし
ければなんなくみやうじう【明州(めいしゅう)のこと】のみなと
につきにけり