翻刻
【右丁】
かれをたいぢせんためにかしこに
おもむかんとするかといで【かどいで=門出】にうまれ
いて給ふならはわうじもちんもとも
にをたし【穏し(おだし)=平穏である】かるまし君わがくにのほう
そ【宝祚=皇位】をつかせたまひたみあんせんの
代とならんならはこのたびいこく
をたいらげこのくにゝきてうせん
まては御さんをまたせ給へかしと
きせい【祈誓】ふかくし給へはたちまちに
御さんのけはやみにけりしかれとも
くわうごうの御はら大きにお
はしましけれは御よろいをめさ
るゝに御はだへあきたりたまたれ
【左丁】
のみことこのよしを見給ひてわいだ
てと申ものをこしらへてめさせ給ふ
その時すみよしの大みやうしんは
ふくしやうぐんとなりたまふすはの
大みやうじんはひしやうぐん【裨将軍 注】となり
たまひもろ〳〵の大小のじんぎ
ひやうせん【兵船】三千よそうをこきならべ
かうらいこくへよせ給ふこれをきゝて
かうらいこくのゑひすともひやうせん
一まんぞうにとりのりてかいしやうに
いでむかひ大こゑをいだしてせめたゝ
かふすみよしすはのりやうしん【両神】はまつ
さきにすゝみ給ひてぐんびやう【軍兵=兵士】を
【注 軍勢を統括指揮する大将軍の下にあって補佐する役目】