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たとへんかたもなし。つねに
すみ給ひし所(ところ)御らんずれ
ば。さま〳〵の御なこりおしき
御事。かきつくし給ふ御事
かぎりなし。われこそえん
つくるとも。わかぎみさへおい
たちたまへば。なにのうらみ
にかいでたまふぞと。御なげ
きかぎりなし。かすがの御
つぼね。わかぎみのおちの人
に。ことのしさいをたつね給へど
も。何ともしりまいらせ候はず。
わかぎみさまへ。いぬまいり候て
より。せうなこんどのことのほか。
かほのいろかはり。世にうらめし
げにのたまひしよりほかは。
みまいらせず候。何(なに)ごとも候はず
候と申けり。中(ちう)将(しやう)殿(との)きこし
めし。よし〳〵そのみは何にて
もあれ。せめて此わか七さい迄(まで)
は。などかひとつにあらざらん
と。御なげきは申はかりなし。
しかるにそのゝち。こゝかしこ
より。きたのかたむかへさせ給へ
と申けれども。そのいろもま
しまさず。たゞこの御わかれ