翻刻
さてまた爰(こゝ)に三でう大
なごんとのとておはします。
その御子に。三位の中/将(しやう)と
のとて。ようがんびれいに
して。まことにむかしのひかる
げんじ。ありはらの中将殿
と聞(きこ)えしも。是(これ)にはまさ
るべからず。たかきもいやし
きも。心をまどはしける程(ほと)
に。ちゝ大なこんどのにおほせ
あはせて。さるかたさまより。
御つかひありしかども。中(ちう)
しやうとの御こゝろにそむ。
いろもましまさず。いかならん
しつのめの子なりとも。その
かたちすくれたらん人なら
ばとおぼしめし。常(つね)はしゐか
くはんげんにのみ心をすまし
給ふ。ころは。三月/下(げ)じゆんの
こと成に。はなぞのにたち出(い■)
給ひ。ちりなんはなを御らん
じて。なりひらのけふのこ
よひにと。よみけるも。かゝる
折にやとながめたまふ。おり
ふしかのきしゆごぜん。いなり
のやまより見おろして。う