東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: 学校教材発掘プロジェクト 5 江戸名所図会

江戸名所図会 20巻 巻之3 - 翻刻

江戸名所図会 20巻 巻之3 - ページ 40

ページ: 40

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【右丁】   白(しろ)く波(なみ)もなくこひちの様(やう)にて紫生(むらさきおふ)と聞(きく)野(の)も蘆(あし)荻(をき)のみ   高(たか)く生(おひ)て馬(うま)に乗(のり)て弓(ゆみ)もたる末(すゑ)見えぬ迄(まて)高(たか)く生茂(おひしけ)りて   中(なか)を分行(わけゆく)に竹柴(たけしは)といふ寺あり遥(はるか)にいゝさろうといふ   所(ところ)の楼(ろう)の跡(あと)礎(いしすゑ)なとありいかなる所そと問(とへ)は是(これ)はいにしへ   竹柴(たけしは)といふさかなり國(くに)の人のありけるを火焚家(ひたきや)の火(ひ)   焚(たく)衛士(ゑし)にさし奉(たてまつ)りたりけるに御前(おまへ)の庭(には)を掃(はく)とて   なとや苦(くる)しきめをみるらむ我國(わかくに)に七つ三つ造(つく)り   居(すゑ)たる酒壺(さかつほ)にさし渡(わた)したるひたえの瓢(ひさこ)の南風(みなみかせ)吹(ふけ)は   北(きた)に靡(なひ)き北風(きたかせ)吹(ふけ)は南(みなみ)になひき西(にし)吹(ふけ)は東(ひかし)に靡(なひ)き東(ひかし)   吹(ふけ)は西(にし)になひくを見てかくてあるよと獨(ひとり)こちつふやき   けるを其時(そのとき)の帝([み]かと)の御(おん)むすめいみしうかしつかれ   たまふ只(たゝ)獨(ひと)り御簾(みす)の際(きは)に立出(たちいて)給ひて柱(はしら)に寄(より)かゝ   りて御覧(こらん)するにこのをのこかく獨(ひとり)こつをいと 【左丁】   哀(あはれ)にいかなる瓢(ひさこ)のいかに靡(なひく)ならんといみしう床(ゆか)しく   おほされけれは御簾(みす)を押明(おしあけ)てあのをのここちよれと   めしけれはかしこまりて高欄(かうらん)のつらに参(まゐ)りたりけれは   云(いひ)つる事/今(いま)ひとかへり我(われ)にいひて聞(きか)せよと仰(あふせ)られけれは   酒壺(さかつほ)の事今ひとかへり申けれは我(われ)ゐていきて見せよ   さいふやうありと仰(あふせ)られけれはかしこく恐(おそろ)しと思(おも)ひ   けれとさるへきにやありけんおひたてまつりて下(くた)るに   便(ひん)なく人(ひと)追来(おひきた)らんと思(おも)ひて其夜(そのよ)勢多(せた)の橋(はし)のもと   に此宮(このみや)を居(すゑ)たてまつりて瀬田(せた)の橋(はし)をひとまはかり   こほちて夫(それ)を飛越(とひこえ)て此宮(このみや)をかきおひ奉りて七日(なぬか)   七夜(なゝよ)といふに武蔵國(むさしのくに)にいきつきにけり帝(みかと)后(きさき)御子(みこ)   うせ給ひぬとおほしまとひもとめ給ふにむさしの   國(くに)の衛士(ゑし)のをのこなんいとかうはしきものを首(くび)に