翻刻
まへの両親(りやうしん)も〽アイうす〳〵承知(しやうち)てけふの首尾(しゆび)親(おや)のお慈悲(じひ)はうれしけれど此上(このうへ)
おまへにきらはれたらわたしやいきてはいぬ心(こゝろ)〽きらうどころかわたしもとうから惚(ほれ)
た心は此方(こつち)が先(さき)伯父貴(おぢき)が承知(しやうち)の上なれば必竟(ひつきやう)親(おや)のゆるした中(なか)誰(たれ)に遠慮(ゑんりよ)があ
らうかト恋(こひ)の病(やまひ)におもやせし顔(かほ)引(ひき)よせて口(くち)ト口〽エヽうれしいわたしや此(この)まゝ死(しん)でも
よいよ〽どうして死(し)なしてよいものかトまたぐらへ手(て)を入(いれ)れば〽アレこんな所(ところ)ではづかし
い〽もうこうなつてどう此(この)まゝト思(おも)ひ〳〵し玉門(ぎよくもん)へ指(ゆび)を入てくぢるにぞ娘(むすめ)はいつそ上(じやう)
気(き)してはづかしがるをおしこかしひときは太(ふと)くたくましきへのこへつばきをねやしつけとう
とう根(ね)までぬる〳〵〳〵させたい交(し)たいの二人(ふたり)が思(おも)ひすつぱりはれて薄紙(うすがみ)でぬぐつ
てとつたる娘が全快(ぜんくわい)是(これ)より親々(おや〳〵)談合(だんかふ)して従弟合(いとこあはせ)の夫婦中(ふうふなか)いとむつまじく
楽(たのしみ)くらし諸白髪(もろしらが)までそひとげしとなん
浮世源氏(うきよげんじ)上の巻終