翻刻
源氏(げんじ)帚木巻(はゝきゞのまき)雨夜(あまよ)の品定(しなさだ)めに。
人(ひと)の見(み)及(およ)ばぬ蓬莱(ほうらい)の山(やま)。あら海(うみ)に
いかれる魚(うを)。からくにのはげしきけものゝ
かたち。目(め)に見(み)えぬ鬼(おに)の顔(かほ)など。ものおそろ
しくかきなせば。誠(まこと)の形(かたち)の是非(ぜひ)は知(し)らず。只(たゞ)見(み)し
所(ところ)勢(いきほ)ひありて。人毎(ひとごと)にまづ思(おも)ひつくものぞとて。
心(こゝろ)のうちは知(し)らずもあれ。うち見(み)。粋(すゐ)に花(はな)やか
なる。女(をんな)の上(うへ)に是(これ)を喩(たと)へ。人(ひと)の常(つね)に目馴(めなれ)たる