翻刻
【本文の前に四文字の印】
墨客勝龍水翁性書画を好て
奇也それか中に生写をよくす誠に
絵所にも墨かきに撰れ侍るを最
第一とする事なから彼亦一事也
金岡広高かいにしへ或は蓬莱の
山荒海の怒れる魚の姿はまね
ひよく尋常の山のたゝすまゐ水の
流れなとをやはらひて書なすは
かたくそ有けると紫式部か筆の
すさひ其始をおもふに画工悪図
犬馬而好作鬼魅誠以実事難
形而虚偽不窮也ける鬼魅はや
すく狗馬はかたかるへし雖肰
勝氏か生写の妙処を愛玩す
る時は是全く画家の竜水に
あらす書家の余花たり絵花
者不画其香絵人者不画其情
とかや于茲滑稽会林秀国
多年の望生写の河魚海魚を
桜木に彫刻し書賈にあたへん