翻刻
【右丁】
○如月(きさらき)の八日の門(もん)に釣籠(つるかこ)は悪魔(あくま)をはらふ事はじめなり
三月 《割書:弥生 季春 姑洗 桃辰 桜月》
○三日
○桃酒(もゝのさけ)
上巳(しやうみ)の節句(せつく)は寒気(かんき)漸(やうやう)《振り仮名:潜|□□□》【ひそまヵ】り温気(うんき)発(はつす)る節(せつ)なれば
必(かなら)ず病(やまひ)をはつす故(ゆゑ)に桃花(たうくわ)を酒中(しゆちう)に入て服(ふく)す
れば百病(ひやくひやう)を除(のそく)といふ又此日桃花の酒(さけ)をのめば
長寿(ちやうしゆ)するといふ
○呑人(のむひと)や千代(ちよ)をへぬらん御酒種(みきのたね)かなふ齢(よはひ)の□□□なりせは
○めくりあはん限(かきり)そ遠(とを)きみちとせになるてふ桃(もゝ)の花(はな)の盃(さかつき)
【左丁】
○草餅(くさもち)
蓬(よもき)を以て草飯(くさもち)を製(せい)すこと 雄略天皇(ゆうりやくてんわ[う])□□【よりヵ】
はしまる也 蓬(よもき)は百草(ひやくそう)の司(つかさ)なり故(ゆへ)に百病を治(じ)す
○国民(くにたみ)のよろづの病(やま)ひのぞかんと蓬(よもぎ)のもちをいはゐそめてき【注】
○臼(うす)に粉(こ)の蓬(よもき)も入(いれ)て杵(きね)をとりつく音(おと)も先(まつ)かたひしのもち
四月 《割書:仲呂 清至 梅月 卯月 首夏》
○四月朔日今日より五月四日迄 袷(あわせ)を着(ちやく)す衣更(ころもかい)といふ
蚊帳(かちやう)
五月 《割書:蕤賓 皐月 仲夏 たち花月 茂林》
五月五日 此(この)日を端午(たんこ)といふは帝釈天(たいしやくてん)修羅(しゆら)を退(たい)
【注 完了の助動詞「つ」の連用形に過去に助動詞「き」のついたもの。動作・作用の完了していることを表す。「き」の字母は下部が欠けているものの「起」と思われる。】