翻刻
【右丁】
散(さん)して帰陳(きちん)の日五月 初(はつ)の午(うま)の日なり
○染かたひら
○菖蒲酒(せうぶさけ) 諸毒(しよとく)を解(け)す為(ため)なり
○粽(ちまき) 茅(ち)をもて蛇(じや)の形(かた)に表(ひやう)し毒虫(どくむし)を払(はら)ふ為(ため)なり
○菖蒲湯(せうぶゆ)
○菖蒲 蓬(よもき)を家々(いゑ〳〵)の軒(のき)へさすは邪気(しやき)を払(はら)ふ為なり
○薬玉(くすたま) ◦さつきの玉◦長命縷(ちやうめいる)◦続命縷(ぞくめいる)◦五彩糸(こしきのいと)
薬日ともいへり 薬草摘(やくさうつむ) 是(これ)は百花(ひやくくわ)を摘(つむ)なり
高辛氏(かうしんし)の悪子五月五日に海(うみ)にしつめる其霊(そのれい)水神(すいしん)と
成て人(ひと)をなやませり或人五色 糸(いと)にて粽(ちまき)をして海(うみ)に
【左丁】
入しかは五色(こしき)の龍(りやうと)成けるより人(ひと)をなやまさすと云々
○年毎(としこと)にけふやあやめの薬酒(くすりさけ)又は五月(さつき)のいつかのむべき
○沢水(さわみつ)に衛士(ゑじ)のおり引(ひく)あやめ草(くさ)君(きみ)かうてなに祝(いは)ひふくらし
○夏(なつ)の日(ひ)にあらゆる程(ほと)の毒虫(とくむし)を除(のそか)んための粽(ちまき)菖蒲酒(せうふしゆ)
○今日(けふ)ことにきこしめされよ御寿命(ごしゆめう)の数(かづ)も八千(やち)たびもゝ粽(ちまき)をば
○時鳥(ほと[と]きす)鳴や皐月(さつき)の玉(たま)くしけふた声(こゑ)聞てあくる夜(よ)も哉
六月 《割書:林鐘 水無月 風待月 常夏月》
○氷(こほり) 氷餅(こほりもち) 《割書:朔日》 此二品はいつれにても一品 食(しよく)してよし
氷餅(こほりもち)は氷(こほり)の表相(ひやうさう)也又 齢(よはひ)の長寿(ちやうじゆ)にとる
○みな月に氷の餅(もち)を食(しよく)すれば夏(なつ)の諸病(しよひやう)を除(のぞ)くとそきく