翻刻
/越後女(えちごおんな)の/裾張開(すそはりぼゞ)
/千摩伊十紙(せんまいとうし)初編巻之中
東都 吾妻雄兎子戯編
○/一寸結(ちよつとむす)んだ/出雲(いづも)の/帳外(ちやうぐわい)
/再説彼冨次郞(さてもかのとみじらう)はあつたら/夢(ゆめ)を/侍女(こしもと)のお/柳(やぎ)が/為(ため)に/揺起(ゆりおこ)され/腹(はら)
は/立(たて)ども/亦更(またさら)に/詮術(せんすべ)なければ/忙然(ぼうぜん)と/返辞(へんじ)も/為(な)さで居るを見て
お柳は/顏(かほ)を/和(やは)らげて/枕(まくら)の/傍(そば)へ手を/突(つき)つ栁「/慈母(おつか)アさまの/被仰(おつしやい)
ますには/今冨(いまとみ)が/子舎(へや)へ往(いつ)て見たら/小襆(かいまき)一ッで/転寝(うたゝね)をして居るから
/風(かぜ)でも/引(ひく)と/悪(わる)い/眠(ねむ)いのなら/床(とこ)をとつて/実正(ほんとう)に/寢(ね)かして/呉(くれ)と被仰い
ましたサア/貴君一寸(あなたちょつと)お/床(とこ)を/伸(のべ)ませうと/云顏(いふかほ)つく〴〵打見やり冨「ウム/左様(さよう)か