翻刻
【右丁】
申ものほんぎやく【叛逆=そむきさからうこと。反逆】をくはたてすてに
つくしひうがのくにをおそふよしそう
もん【奏聞=天皇に奏上すること】する事あり三かんとは日ほんより
にしにあたつてしんらかうらいはくさい【新羅、高麗、百済】
とて三ツのくにあり此くにのたみしんだん
こく【震旦国=中国の異称】にもしたかはずわがてうへもふくせ
ずみつからほしいまゝに世にほこる
にてそ候ひけるみかと大きに御しう
しやうありてみつからこれをせいし
たまはんとていくさをおこしきしう
ゆらのみなとより御ふねにめされつゝ
つくしをさして御げかうあそはし
けるがすてにつくしのちにいらせ
【左丁】
給ふところに夜に入そらくらくなり
てとうざいぜんこもわきまへがたけ
れはふな人ともこはいかゝせんとあき
れはてたるところにゆんでのかた【左の方】に
あたつてほしのことくに火のひかり
見えけりみかとこのよし御らんして
ふな人ともをめされてあれはいかなる
火そとのたまひけれはさん候【「さにそうろう」の変化した語。そのことでございます】たれ人【誰人=何人(なんぴと)】
のとほしたる火ともしらぬ火にて
侍るとこたへ申けりさてこそしらぬ
ひのつくしとは申つゝくるなるへし