翻刻
【右丁】
すゝきと申うをはうへまてもしろ
しめしたるものなれはすなはち御てん
にまいりてもろ〳〵のうをともこと〳〵
くまいりあつまり侍るよしをそう
もん【奏聞】申けれはりうわう大きに御
かん【御感=天皇、将軍、高貴の人などが深く感動すること】まし〳〵てしをつゝのおきなに
此よしかくとの給ひけれはやかて
かのうをともの中に入こかねのつり
はりをのふだるうをやあるときせん
くんじゆ【貴賤群集】のその中をにしからひがし
きたからみなみじうわうむげ【縦横無碍=縦横無尽、四方八方思う存分】に
たつねさがし給へともつりはり
のふだるうをはなかりけりさてかい
【左丁】
ていにすむうろくず【「うろこ」。転じて「魚」】はさばかりにて
やあるらんといふかしくおほしつゝ
なをもかい中をせんさくせられ
けるほとにちくらがをき【筑羅が沖=韓(から)と日本の潮堺にあたる海。】のとなり
に七十よ里なかれたるがんぜき
ありそのほらにふと申うをのい
まをかぎりとなやみけるゆへに
このたひのしゆつしにもれたるあり
けりすなはちこのうをりうくうへいて
まいりたりしほつゝをのおきなこの
よしを御らんしてなんぢはいかなる
しさいありてかさやうにはなやみけるそと
とひ給へはかのうをこたへて申やう去(さん)ぬる【サリヌルの音便形。過ぎ去った。】