翻刻
【右丁】
猪口暮露(ちよくぼろん)
明皇(めいくはう)あるとき書を
見給ふに御 机(つくへ)の上に
小 童(どう)あらはる明皇
叱(しつ)したまへは臣は是
墨(すみ)の精(せい)なりと奏して
きへうせけるよし
此 怪(くはい)もその類かと夢
のうちにおもひぬ
【左丁】
瀬戸大将(せとだいしやう)
槊(ほこ)をよこたへて詩を賦せし
曹孟(そうもう)徳(とく)にからつやきの
からきめ見せし《振り仮名:■鍋|かんなべ》の
寿亭候(じゆていこう)【侯ヵ】にや蜀江(しよくこう)の
にしき手を着(き)たりと
夢のうちにおもひぬ
【「■鍋」は「燗鍋」ヵ】