翻刻
もりと云人をつけてつかはすもていたり彼うら
にをるわうけいに金をとらすわうけいふみを
ひろけて見て返事かく火ねすみのかはころも
此国になき物也をとにはきけ共いまたみぬ物
なり世に有物ならは此国にももてまうてきな
ましいとかたきあきなひ也然共もし天ちくに
玉さかにもて渡りなは若長者のあたりにとふ
らひもとめんになき物ならは使にそへて金を
は返し奉らんといへりかのもろこしふねきけ
り小屋のふさもりまうてきてまうのほると云
事を聞てあゆみとうする馬をもちてはしら
せんかへさせ給ふ時に馬にのりてつくしより只
七日にまうて来る文を見るに云火ねすみのか
は衣からうして人を出してもて奉る今の世
にも昔の世にも此かははたはやすくなきものな
りけりむかしかしこき天ちくのひしり此国に
もて渡りて侍りける西の山寺にありときゝ及
ておほやけに申てからうしてかい取て奉る
あたひの金すくなしとこくし使に申しかは
わうけいか物くはへてかひたり今こかね五十両
給るへし舟の帰らんに付てたひをくれもし
かねたまはぬ物ならは彼衣のしち返したへと