翻刻
ひね人ないたくわひさせ給ひ奉らせ給ふそと
云てよひすへたてまつれりかくよひすへて此
度はかならすあはんと女の心にも思ひをり此
おきなはかくやひめのやもめなるをなけかしけ
れはよき人にあはせんと思ひはかれとせちに
いなといふ事なれはえしひぬは理也かくやひめ
おきなに云此かは衣は火にやかんにやけすは
こそまことならめと思ひて人のいふ事にもま
けめ世になき物なれはそれをまことゝうたか
ひなく思はんとの給ふ猶是をやきて心みんと
云おきなそれさもいはれたりと云て大臣にかく
なん申といふ大臣こたへて云此かははもろ
こしにもなかりけるをからうしてもとめたつ
ね得たる也なにのうたかひあらんさは申とも
はややきてみ給へといへは火の中に打くへ
てやかせ給ふにめら〳〵とやけぬされはこそ
こと物のかはなりけりといふ大臣是を見給ひ
てかほは草のはの色にて居給へりかくやひめは
あなうれしとよろこひてゐたりかのよみ給ひ
ける歌の返しはこに入て返す
名残なくもゆとしりせはかはころも
思ひのほかにをきて見ましを