翻刻
とありけるされは帰りいましにけり世の人々
あへの大臣火ねすみのかは衣をもていまして
かくやひめに住給ふとなこゝにやいますなと
とふある人の云かはは火にくへてやきたりし
かはめら〳〵とやけにしかはかくやひめあひ給
はすといひけれは是を聞てそとけなきものを
はあへなしと云ける大伴のみゆきの大納言は
我家にありとある人をあつめてのたまはくた
つのくひに五色のひかりある玉あなりそれを
取て奉りたらん人にはねかはん事をかなへん
とのたまふをのこ共仰の事を承て申さく
仰の事はいともたうとし但この玉たはやす
く得とらしをいはんやたつのくひの玉はいかゝ
ととらんと申あへり大納言の給ふ天のつかひと
いはんものは命をすてゝもをのか君のおほせ
事をはかなへんとこそ思へけれ此国なき
てんちくもろこしの物にもあらす此国の海山
よりたつはをりのほる物也いかに思ひてか汝
等かたき物と申へきをのこ共申様さらは
いかゝはせんかたき物成共仰事にしたかひても
とめにまからんと申に大納言見わらひてなん
ちらか君の使と名をなかしつ君の仰事をは