翻刻
とやま 葉形色共に赤くして手向
山と同し夏は薄青くさめ
たれともうす紅のひと
【挿絵】 しほを残なかめ常に
たへす秋の紅葉さま
さまなる事筆に
つくしかたし
のこす一しほ
しくれてもなを
秋のうすもみち
そめはてぬ外山の 永福門院
【歌は左から右へ詠む】
隣家 葉形極て五葉に切れたり百に一葉も
六七葉に切たるもあるへし出葉は
ほそくすかして異形なり
此楓をある人実生に植出し
【挿絵】 秘蔵して植置たるを隣家の
好士蘆垣の透間より一枝をかよわ
せてよひ接にして世にひろふす
資平卿
あし垣のへたてなからもへたてぬは
よものもみちのこすゑなりけり